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「適正な養育費を受け取りたい」

1 養育費とは?

 5aa407a2eca301ad3e89587567c527dc_s子どもを育てていくためにかかる費用のことを養育費といいます。

 夫婦は,婚姻期間中,養育費を夫婦の合意に基づいて負担しています。

 しかし,離婚した場合は,この養育費をどちらがどのくらい負担するのかかが問題となるのです。

 

 

2 養育費はいくらもらえるの?

 夫婦が離婚する際に,夫が妻に対して支払う養育費の額を合意すれば,妻は,その合意に基づいて,養育費を受け取ることができます。

 

 では,夫婦間で,養育費の額について合意ができない場合は,どうすればいいのでしょうか。

 

 この場合,裁判所で使用される養育費算定表を利用することが多いです(URLをご参照ください。)。

   http://www.courts.go.jp/tokyo-f/vcms_lf/santeihyo.pdf

 

 この養育費算定表は,法律的に養育費の額をこの範囲内で決めなければならない,というものではなく,あくまで目安です。ただし,家庭裁判所で「審判」という形で決まる場合には,この枠内で養育費が算定されることが多いでしょう。

 

3 養育費はいつまでもらえるの?

 では,子の養育費は,子が何歳になるまでもらえるのでしょうか?

 

 通常は,子が20歳になるまで養育費を支払うと決められることが多いです。

 

 ですが,子が大学生である場合は,その学費等にお金が必要となります。そのため,養育費を支払うべき期間を子が大学を卒業する月や22歳までと決めることもあります。

 

4 養育費を支払ってくれないときは?

 離婚するときに養育費を支払うことを例えば夫が約束していたとしても,子どもが幼ければ約20年間も養育費を支払い続けなければならないため,夫が途中で支払をしなくなることがあります。

 

 このような場合,妻としてはどうやって養育費の支払いを求めれば良いのでしょうか。

(1)家庭裁判所で養育費を取り決めたとき

 まず,家庭裁判所で養育費を取り決めた場合には,相手に対して,養育費の支払いを求める制度(履行勧告・履行命令といいます。)を利用することができます。

 また,相手が婚姻費用を1日支払わないごとに,例えば2500円を支払うように命令することも可能です(間接強制といいます)。

 

 ただし,これらの方法は,相手が裁判所の命令までも無視した場合には,実効性がありません

 

 そこで,例えば相手が会社から毎月もらう給料の半分までを差し押さえて養育費を強制的に回収する方法があります。そのほかにも,相手方の預金や退職金を差し押さえることもできます。

 

(2)夫婦間の合意だけで養育費を取り決めたとき

 この場合は,養育費について強制執行認諾文言の入った公正証書を作成しておくことがお勧めです。

 公正証書は,夫婦のみで作成することもできますが,専門家に依頼する方が文言内容のチェックもできるため確実です。

 

5 新しい養育費算定方法

 

 日本弁護士連合会という弁護士の組織では,上で紹介した養育費算定表とはことなる新たな算定表を使用することを提案しています。

 新しい算定表に関しての詳しい情報は,以下の日本弁護士連合会のホームページをご覧ください。
 https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2016/161115_3.html
 

6 養育費算定にあたり問題となり得ること

以下では,養育費を受け取る側を「権利者」,養育費を支払う側を「義務者」といいます。

⑴ 子どもが私立学校に通っている場合

子どもが15歳以上の場合と14歳未満の場合では,参照する算定表が変わり,金額に違いが生じます。これは,15歳以上の子どもは,一般にも学費等が多くかかる時期であると考えられているためです。そして,15歳以上の子どもについて,公立高校でかかる学校教育費相当額は,すでに算定表の金額に織り込み済とされています。

もっとも,実際に子どもが私立の高校や大学に通っている場合には,学費の負担等が重くのしかかり,算定表の養育費では権利者が子どもを養育するにあたり,経済的に苦しくなってしまいます。そこで,実際に子どもが私立の高校や大学に通っている場合には,公立高校の学校教育費相当額と実際の学校教育費との差額のうち義務者に負担させることが相当と考えられる金額について,上乗せされることがあります。

このとき,私立の学費の上乗せ分について,権利者と義務者でどのような割合で負担すべきかについては,権利者と義務者の収入に応じて按分する見解と,権利者と義務者で等分に負担する見解があり,具体的事案によって使い分けられているようです。

私立学校の学校教育費のみならず,塾に通っている場合なども考慮される場合があります。

⑵ 過去にさかのぼって養育費を請求することができるか

養育費は,親子という関係から当然に発生するものであることからすれば,過去にさかのぼって請求することも可能と考えられます。もっとも,養育費の実質は,子どもの現在の生活費に充てるという性質のものであり,実際に養育費を請求せずに生活ができていた実態があったにも関わらず,後になって過去の未払い養育費を多額に請求される義務者としては予測できない負担を課せられることにもなりうるため,結果的に義務者による扶養の必要性がなかったとの判断もありえます。

そのため,基本的には過去にさかのぼって養育費を請求することは容易ではないと考えられていますので,養育費を請求すべき場合には,速やかにその手続きを行う事が必要です。

仮に,義務者が相当な養育費の分担を免れたために財産を増やしたような場合など,具体的事情が考慮されて,過去にさかのぼって認められることもあります。

過去にさかのぼって養育費を請求する場合,時効との関係に注意することが必要です。養育費の具体的な金額の取り決めがある場合には,養育費が発生する各月から5年の時効,養育費の具体的な金額の取り決めがない場合には,10年の時効にかかる可能性があります。

⑶  養育費の請求はどのような方法によるべきか

養育費を請求すべき場合には,速やかに請求すべきですが,いつ請求したかが明確になる方法で請求する必要があります。

具体的には,家庭裁判所に対し,養育費を求める調停を申し立てることが必要と考えられています。

⑷ 権利者が無職の場合

権利者が専業主婦などの場合には,実際の収入はゼロということになり,権利者の収入をゼロとして算定すべきかが問題となります。実務では,権利者が無職であっても,働けない具体的事情がなければ,少なくともパート収入程度は得られるであろうことを前提に,月収10万円程度の収入を前提として養育費を算定する場合が多くなっています。

⑸ 子どもが成人しているが大学等に通っている場合

学業に専念しており,未成熟子として扱われ,養育費を請求できる場合があります。算定表では,20歳以上の子どもは養育費を請求できないように見えますが,実務では,大学に通学する子どもについても,19歳以下の子どもと同様に未成熟子として扱い,養育費の請求が認められる場合場合があります。

また,同様に成人している子どもであっても,障害をかかえるなどしていて扶養を必要とする状況である場合には,やはり未成熟子として扱い,養育費を請求できることになります。

⑹ 義務者に扶養すべき者が増えた場合など

義務者が再婚して子どもが増えるなどして,扶養すべき者が増えた場合,それまでの養育費の負担が重くなる場合があります。このような場合には,いったん取り決めた養育費の金額について,取り決めた後に事情の変更があったことを理由として,養育費の減額が認められることがあります。

同様に,権利者が再婚をして,子どもと養子縁組をした場合には,養親も子どもの扶養義務を負うことになるので,義務者が負担している養育費が減額される可能性があります。もっとも,権利者が再婚しても,再婚相手が子どもと養子縁組をしなければ,再婚相手は法的に子どもを扶養する義務を負いませんので,義務者の養育費の金額には影響を及ぼさないこととなります。

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